四畳間

幼女の備忘録と感想文

巨大機械に関わるエンジニア~作る側か使う側か

社会人をやめて大学に戻っている間に、何人かの学生から質問されて、それに対して回答した内容。装置産業等(電力やインフラも、いろいろと調査する限りは同じっぽい)で使われている巨大な機械に関わりたいという学生に向けた話。わかりやすさ優先で、極端めに書く。


機械というのは、"収益目的のサービス、あるいはその一部を提供するため”に存在している。なので本来的には“その目的を果たせているか”に興味を持つべきである。ただ実際には、その目的には興味がなくて、“機械そのもの”に興味を持つ人も多い。そういう人々の一部がエンジニアと呼ばれる職業に就いて、機械そのものの発展に貢献している。

もう一度書くが。この記事は、就職にあたって、「研究はもういいかな。自分は機械に興味があるし、エンジニアになろうかな。」と考えている学生に向けて書いている。

筆者は、巨大機械との関わり方には2種類の方向性があると考えている。この記事は、これからエンジニアになろうとしている人に向けて、その2種類を説明しようというものである。
※ここでは機械と書いているけど、ソフトウェアと読み替えてもいい。

 

わかりにくいと思うので、読者が各自察する前提で、具体的な例で説明する。

あなたが使う側(素材メーカーや鉄道等のインフラ系など)に就職したとしよう。すると、エンジニアとしてのあなたの仕事は、今使われている装置をどう維持管理していくかが主な仕事となる。例えば、壊れやすい箇所のメンテナンス周期を見直すとか、壊れにくくするための改造を検討するといったところ。余談だが、装置の寿命は長いので、「もともとはこういう仕様だったけど、こういうことがあったので今はこういう仕様になっている」という装置の歴史を知れたり、自分もその歴史の一部になれたりする。基本的には泥臭い地味な仕事だけど、一方で、新しい装置を入れようとなった際には、これまでの使い方・これからの使い方を考慮しながら、新しい装置がどうあるべきか、最上流のところで仕様を決めることができる。

一方、あなたが作る側(重工など)に就職したとしよう。すると、エンジニアとしてのあなたの仕事は、使う側からの要求を満たすように、装置を具体機に設計することが主な仕事となる。たとえば、ある部材の厚みをどのくらいにするかを決めるといったところ。最上流の仕様は言われたものに従うしかないが、詳細仕様を一つ一つ決めながら、装置を具体的に形に完成させることができる。

それぞれのメリット、デメリットをいくつか挙げておく。

  • 使う側のメリット/デメリット
    ・最上流で仕様決定できる/具体的な形は決められない
    ・ある機械の歴史の一部に加われる/特定の機械に関わり続けることになる
  • 作る側のメリット/デメリット
    ・具体的な形を決められる/最上流の仕様は決められない
    ・常に新しい機械に関われる/自分が納入した機械のその後を見届けられない

 

補足1)使う側の会社にも技術開発部門はあることが多く、上の説明ほど実際は極端ではない。

補足2)過去の記事を読んでもらえればわかるけど、筆者の仕事は前者。仕様を決められるというところは魅力的な一方、維持管理の仕事が泥臭すぎるところに耐えかねて、転職してしまう人も多い。出入りしているメーカーの方に話を聞くと逆のことを言っていたので、向いているほう・やりたい方を選ぶのがよさそう。